文京うまれ

自由と知性

トラブルの連鎖

先日自分が診ていて紹介した患者が検査後穿孔を起こしてしまい、結構たいへんでした。患者は不信感で深夜の病院から直接自分に電話をかけてきて全部報告してくれました。あちゃー、という感じでしたが、まあこういう時のために自分がいるようなものなので。

 

その時に穿孔させた医師Aはアスペなので、別の医師Bが対応してくれたみたいです。いつもいい人なんですが、翌日の体調は相当悪そうでした。そう、ただの当直よりも、合併症を診なくちゃいけない当直は3倍疲れるんです。わかる、わかるよ。

 

今日、別の患者が検査後嘔吐が止まらず、イレウスを起こしているのか、穿孔などの合併症なのか、自分が午後全部使って対応してました。異常に疲れました。で、なんとか回復してきて、入院しなくて済みそうってところで娘を呼びますと、なんと先日穿孔で自分に電話をかけてきたその人でした。「先生に聞いてもらって安心しました」と言っていたけれど、なんという負の連鎖なのでしょうか。

 

ドラマのような話は毎日ありますね。思えばこの親子はおそらくアピールが下手なのでしょう。割りと医者の前ではいい子として振る舞う傾向がありました。今日ははじめて二人同時に診たわけだけれど、なんと親のほうは娘から症状を聞く限りはうつ病を発症しています。ならば不可解な色々な症状も説明がつくというものです。

 

あと、伝言ゲームが下手、というのもわかりました。患者が吐いている間に家族に説明したことを、患者がトイレから帰ってきたら私が話す前に歪んだ状態で患者に伝えてしまう。こうした傾向のある患者には、合併症が特に集中する、と思います。一見いい人、かつ、理解力が落ちる人、です。ああ、いい忘れました。さりげなく、わがままです。医者にいい仕事をさせないんですよ。

 

ナースにお願いしたいんですが、病院内で特定の医者を褒めるのやめてもらえませんかね。例えば自分を褒めると、どうして最初から俺に診てもらえないのか、と患者がクレーマーになるわけですよ。あなた方は患者に安心して欲しくて言ってるのかも知れないけれど、病院内で特定の医師を褒めるのはご法度と言っていい。特にトラブってる時に、「◯◯先生は大丈夫だから!」っていうナースの一言を、患者がどう受け取るか、考えてみて欲しい。合併症が起きたら、ただ粛々と仕事をするのが良いのです。