文京うまれ

自由と知性

常に予言せよ

食道がんはルゴール染色で早期発見できる。(これを20年前にやる)
食道がんは10年後には拡大内視鏡で発見するのが普通になる。(これを7年前からやってる)

世間ではいまだにルゴールすらちゃんとやってないけれど、今は拡大観察で発見している段階です。こういう風に常にその時の医療レベルを超えたことをやっていないとその矛盾には気づけない。例えば発見しすぎる辛さなんてあんまり医者には理解されないし、ましてや患者には全然理解されない。

でも子宮がんのベセスダ分類が浸透してきて、今まで中等度異型で経過観察とさらっと流されていた人々がHSILと診断されて手術かも、癌かも、という説明を受けてうろたえて来院する(ていうかお腹が痛いから癌じゃないか的な)若い女性がうちに今年になって急に増えて、自分の経験が役に立った。こっちは扱いにくいオッサンたちの異型のサポートをしてるんで。

10年後は無理でも数年後の医療動向を患者に説明してしまえば無用な混乱は起きないだろうに。ベセスダ分類だって2011年から使われているんだから、移行期間中にHSILの説明はいくらでも出来ただろうに。

1990年にはピロリ除菌は当たり前になり、それが胃潰瘍で保険適応になったのが2000年、そして胃炎での適応は2013年。日本は何かが動くのに20年はかかる。

黄斑変性症が同じだ。「大丈夫大丈夫」と言っていた眼科医が手のひらを返したように「目が見えなくなるよ、すぐ注射打とうよ」って説明したら誰だって不信感抱くでしょう。今治験中だからもうちょっと待っててと言っておけば患者も受け入れるだろうに。

その医者がこういう事を言っていたという。
「なんで嫌がるんだ、みんな跪いて注射をしてくれと自分に頼むというのに」
テレビで「黄斑変性症は危険です。新薬が発売になりました!」と煽るのに頼ってるからそういう発想になるのだろうか、情けない。

予言が出来ない医者が患者の信頼を獲得するにはテレビを頼るしかない、これはなんとなくわかる気がする。