文京うまれ

自由と知性

2016-01-01から1年間の記事一覧

土曜日

自分の医者としての特性として、 割りと困ってる患者を診療することに長けているので、 土曜日みたいな 「時間が余ったから来た」 「仕事があるから土曜日」 みたいな患者を診るのがひどく苦手。 土曜日の診療はバックアップがないから医者のほうは必死 患者…

足るを知れなくなる=認知症

45を境にして人間はゼロ歳に精神年齢が戻っていく、 と患者家族に説明し、 87歳の老人の振る舞いを3歳児だと思って見よ、 と言うとそれで救われる家族がいる。 ある老人は自分のわがままを聞いてもらえないと 「人権侵害だ」とモラルハラスメントし、傷つく…

学生実習

例年のことだけれど学生実習がはじまるので(来年4月から)レジュメを書いていた。 基本的に学生はみな優秀だ。 最近はハンズオンの実習が学生に好まれ、たまたまいろいろな手技を経験させてあげられる自分は人気らしい。それは結構なんだけれど。 実習とは…

敬意と本性

患者に対して敬意を払う、というのが外来の約束事で、自分はそれが良く出来ていると思う。実際本当に敬意を払っていないと必ずボロが出るものである。演技では出来ない。 しかし徹底的に敬意を払われてしまうことは少し患者にとっては怖いことかもしれない。…

新しいモダリティ

モダリティは「検査の種類」をあらわす言葉です。なかなか日本語にしにくい。 MRIとかCTとか内視鏡とかエコーとか、それぞれ特定の検査の種類を示す言葉なのでそれら検査を表す単語をモダリティと呼ぶのです。 モーダルというのはたぶん関係があって、コンピ…

光と影

医療にはいろいろな側面があり、どれが光でどれが影なのか、それすらはっきりと規定できな事がある。わかりやすいのは薬の主作用と副作用だけれど、名医の場合には副作用ですら利用して患者の利益にしようと試みるのでますます患者には理解しにくい事はやむ…

小児について

小児を診てくれと言われることも多いが、基本的にはお断りしている。 来院に至る順序が間違っているからだ。 小児科を標榜していても、小児を診るレベルに達していない医師は多く、その見分け方は簡単で、患者の症状で何か困った事があったときに高次施設に…

ジル・マルシャル

ジル・マルシャル氏、と言われてもピンとこないけど、 2014年までメゾン・デュ・ショコラのクリエイティブディレクターだった、 と聞くと「ああ」となる。 今ハイアットリージェンシー東京に行くと食べられるらしいけど、 ちょっと行ってみたい、と虎屋のカ…

毎日いろいろありますが

毎日いろんな事がありますが、 震災から6年も経ってるのに、 被爆がこわくてレントゲンを受けていないという人がいました。 3年前に肺CT撮ったけどなあ? 胸部X線検査は0.05mSV 飛行機(東京-NY間)の0.2mSVより少ない被爆よ と話した。そもそも果物など自…

救急車

地方では救急車が患者を開業医の外来に搬送することがあると聞くんだけど、うち(申し訳ないけど病院がないほどの地方ではない)にもたまに救急車が電話をかけてきて、 「患者が行きたいっていうんですけど」と隊員さんが申し訳なさそうに言う、 「出血して…

きれいな世界

年をとると暴言や暴力がエスカレートする人々がいるが、医者の前でだけおとなしくなるので問題が露呈しにくいのです。 レビー小体型認知症では特に顕著ですが、他の認知症でも暴言は多いです。 人間とはいったい何か、という事に関して人類はかつてない壁に…

incidentaloma

偶然発見される腫瘍の事を incidentaloma といいます。 一番良くあるのが副腎腫瘍です。 他の目的で撮影したCTに腫瘍が写り込んでいた、 というような事が割合多いのです。 副腎というのは腎臓の上にある5gぐらいしかない小さな臓器で、 ステロイドホルモン…

まだら医療

まだら脂肪肝もまだら呆けも苦手だけれど、まだら医療はもっと苦手だ。 医者を批判するなら、例を挙げるとARBをフルドーズで処方しながらがん検診を指導しない内科医みたいな奴とか。 患者を批判するなら、下部内視鏡検査を毎年受けるくせにピロリがいるかど…

生きている事

癌の再発転移を繰り返している患者が来て、正直もう死んでいておかしくないと思っていたから意外とお元気そうでこちらも嬉しかった。医学は日進月歩。 その方がメモを見ながら話をするのだが、その病歴が癌に関しては完璧で、「メモを貸してくれます?」とお…

生き残ることについて

老人の詐病が多く、心を痛めている。 寂しくなると痛いふり、苦しいふりをする人が現実にいるのだが、彼らのためにならないのは明白である。 65年もタバコを吸ってきた人が「苦しくなったらどうしよう」と言うのはリアリティがなさすぎる。(具体的にCOPDの…

息切れ

今日は少し長い(といっても大したことがない。3時間ぐらい)距離を歩きました。 40代は僕ともう一人だけであとは50代以上だったのですが、みんなの息切れがひどいのでちょっとびっくりしました。こちらは全然というか、当たり前なんですけど20歳から体重変…

劣等感

うつなんとかとか、がん患者を食い物にする最低な医師連中のひとりひとりとか、その若い頃の姿を周囲の人間にインタビューしたりすると、彼らの背景に強烈な劣等感がある事に気づく。 自分は優秀であるはずなのに認められない、あるいは優秀だと思っていたら…

復習と予習

子供の勉強の様子を見ていた。 高校までは知識を緻密にしていく作業が多かった。つまり復習の事だ。センター試験とか、良い大学の入試問題は大変良く考えられていて、学習能力の高い子どもを選抜することが出来るようだ。 大学に入ると今度は予習の作業が多…

同業者批判

医者が同業者批判をしない、ないしはしにくいのは、医学の領域が広大すぎるがために、まずは自分の立場を明らかにした上で批判の範囲を限定するなどしないと的外れになるからである。 例えば全般に実力の十分でない眼科医がいたとして、その眼科医を漠然と批…

絶対治らない人々

胃腸には機能性の異常、というものがありますけれど、 例えばお薬を使ったらすごく良くなった、 でもお薬をやめたらまた元に戻った、 というような事がおきるときがある。 そういう場合に、 とても素直な人は 「ああ、自分は消化力が今は足りないんだな。医…

生プリン

信玄餅の生プリンが限定200箱売っている、という現場に行った所思いの外長蛇の列であり、買えるかどうか微妙。みんな2箱ずつ買っているので焦ってしまった。 なぜかブラジル人のご婦人が2名、僕の前に並んでおり「お、こやつ出来る」という気持ちであったが…

文化祭に行った

文化祭で手話クラブの発表(歌にあわせて手話をつける)があって、 アンケートにもっと書きたかったんだけど、 とりあえず書いた感想が、 一つ目の曲の選曲が何が良かったかというと、言葉の繰り返しが多かったことで、 すると手話のことを全く知らない自分…

友人たちから老いについての相談を受けると上手く答えられない

友人たちから 母を診てほしい とか 母の友人を診てほしい とか 良い先生を紹介してほしい と言われる案件が多いんですが、うまく答えられません。 老いの準備、死ぬ準備、人生をたたむ準備をするならば大いに手伝うのですが。 私の哲学を簡単にいえば「何も…

なぜ指示した通りに来院せねばならぬのか

年に1-2度は顔をみる患者だけど、飲むべき薬を飲まず、受けるべき検査を受けず、半ば野放し状態になっているので驚いた。 「なぜあなたは来ないのか」「ぼけたからだと思う」「じゃあなぜ今日来ているのか」「わからない」「冗談を言うのはやめにして、あな…

これで良かったか?

95歳のご老人で認知症がない方なんだけれど、パニック発作のようになって病院に行った、というエピソードがあった。 バランスよく年齢を重ねている方で、家族(息子さん)とははじめて会ったけれど、今回のパニック発作についても病歴のプレゼン能力が優れて…

詐病との対決

胃が痛いという人がいて、 薬を使ってもまだ痛いという。 我慢が出来ないと。 その言い方は詐病的であって、 たぶん心気症である。 今までもずっとその繰り返しだった人である。 それでも律儀に何か見落としがないか、 時間をかけて診察をする。 さて投薬を…

91歳になると死ぬ覚悟が逆になくなるかどうか問題

85歳とか91歳とかいう年齢になった瞬間に、それまで穏やかで「覚悟はできています」的な性格だったのに、死ぬ覚悟がなくなって、いきなりうるさい患者になる問題は、認知症で片付けるべきなのだろうか。 食欲がない体重が落ちる自然に人間が枯れていく事を待…

ブルーベリー狩りに行きたい

まだ8月はやってるだろうか。 調べてみよう。 行った人の話を聞いて、いつも行きたくてしょうがなかったんだけど。

キックスターター

キックスターター好きな友人がいて、 会うたびに新しいガジェットを見せてくれますが、 最近見せてくれたのが、 Wraps という、手首に巻けるイヤフォン。 「音が悪いんだよねー」 の一言と、 ホームページの出来がおそろしく悪いので、 買う気が無くなってる…

下手な知識を持つ人々

血圧のコントロール、 というのはその人の人となりを表す気がして興味深い。 血圧が180あっても頑なに現実を認めようとはしない人。 自己流の考えがある人。 いろいろな症状をすぐに薬を結びつけてやめてしまう人。 相手を信頼して飛び込んでみる、という経…