文京うまれ

自由と知性

#その他の病気

ギャップ

急性の病気はかなり専門性がものを言います。 例えば自分は胃腸に関して強いですから、他の医者がビビるような状態であっても平気で診る。患者さんがこうなったら死んでしまう、ここまではOKのラインがわかっているから。 つまり急性の病気を救えるかどうか…

勘について

私が経過を診ている患者の場合には膵臓がんについて勝手に心配するのは徒労であろうと思う。今までは上手くやってきた。逆に自分が検査をしようとしたところをいろいろな誘因で邪魔されて手遅れになった経験ならいくらでもある。年一回の定期的なエコーww…

利き耳

利き腕、利き足があるのと同様にたぶん利き耳もあるんだろう。 僕の声は聞き取りづらいので、良く患者さんが「あんだって??」(志村けん風に)と耳を僕に向けるんだけれど、 例えば右耳を僕に向けるって事は右耳のほうが良く聞こえるんだろうな、と思い、 …

演技

冠攣縮性狭心症や睡眠時無呼吸症候群のあるBMI30以上の方が、まだ、タバコを吸っているということは、今まで医療機関でよほど揉めたりした過去があるのではないか、、、と医師は身構えてしまう。私もそうです。 その疑問を封じ込め、「今まで禁煙を勧められ…

同調させなさい

親が癌になった、自分も胃が痛い、と来院する人があまりにも多い。 それで話を聞いていると、胃が痛くなる理由は、患者である親とぶつかっているからである、大抵は。 しかも病気になった当人がのんびりしているとか、家族の思った通りにしないとか、そうい…

ポジティブさを作る

例えば高異型腺腫という、癌に近いポリープが過去にあった人がずっと内視鏡検査を受けなかったり、ピロリ菌を除菌した人が以後全く内視鏡検査を受けないことはある。「検査が嫌いですか」「先生のところの検査は嫌じゃない」「ではどうして受けないの?」「…

ボンド紙

アメリカに紹介状を書く仕事が連続した。 1つ目の紹介状はレターヘッドを自分で作ったんだけど、そのファイルを保存しなかったらしい。 2つ目はレターヘッドを作る気力もなくて、ただ文字だけを書いた。 すると、コピー紙に印刷したその紹介状がとても貧相な…

2万円の壁

「生命保険に入るにあたり、すべて申告したほうが良いと思いましたので先生からご紹介いただき大腸内視鏡検査を受けた先生のところに行って保険に入りたい件をお話したところポリープは取っていないのだから関係がないと怒られてしまいまして不満です。私は…

患者と乖離する

早期がんを見つけた時に、最初はショックがないように話すのであるが、「ほんとに病院に行かなくちゃいけないんですかあ?」という患者にはむかついてしまう。

医学部教育は冷たい(でもしょうがない)

医学部の教育は知識の詰め込みに見える。 文章にして何万ページかわからないが電話帳10冊分以上勉強させられる。 詰め込みではなくて、背後に原理原則があり、それをいろいろ方法で理解させようとしてくれるのだがやはり難しいかもしれない。 自分は背景が理…

ポジショントーク

ホリエモンが胃癌の原因は99%がピロリ菌って本で書いたらしくて、 それに対して99%は嘘だ、と癌専門医が噛み付いてた。 噛み付いてたけど、その癌専門医の胃癌の知識はとても浅いものだった。 そんで僕はピロリ菌についてはホリエモンの言い方でOKと思う。 …

カーテン・カーテン

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12698779 ミシガン州にアンアーバーという街がある。デトロイトから西に1時間弱ぐらいである。名門であるミシガン大学があり、学園都市みたいな雰囲気の良い場所である。 日本の企業関係者は何千人もミシガン州に住んで…

土曜日

自分の医者としての特性として、 割りと困ってる患者を診療することに長けているので、 土曜日みたいな 「時間が余ったから来た」 「仕事があるから土曜日」 みたいな患者を診るのがひどく苦手。 土曜日の診療はバックアップがないから医者のほうは必死 患者…

足るを知れなくなる=認知症

45を境にして人間はゼロ歳に精神年齢が戻っていく、 と患者家族に説明し、 87歳の老人の振る舞いを3歳児だと思って見よ、 と言うとそれで救われる家族がいる。 ある老人は自分のわがままを聞いてもらえないと 「人権侵害だ」とモラルハラスメントし、傷つく…

新しいモダリティ

モダリティは「検査の種類」をあらわす言葉です。なかなか日本語にしにくい。 MRIとかCTとか内視鏡とかエコーとか、それぞれ特定の検査の種類を示す言葉なのでそれら検査を表す単語をモダリティと呼ぶのです。 モーダルというのはたぶん関係があって、コンピ…

毎日いろいろありますが

毎日いろんな事がありますが、 震災から6年も経ってるのに、 被爆がこわくてレントゲンを受けていないという人がいました。 3年前に肺CT撮ったけどなあ? 胸部X線検査は0.05mSV 飛行機(東京-NY間)の0.2mSVより少ない被爆よ と話した。そもそも果物など自…

救急車

地方では救急車が患者を開業医の外来に搬送することがあると聞くんだけど、うち(申し訳ないけど病院がないほどの地方ではない)にもたまに救急車が電話をかけてきて、 「患者が行きたいっていうんですけど」と隊員さんが申し訳なさそうに言う、 「出血して…

incidentaloma

偶然発見される腫瘍の事を incidentaloma といいます。 一番良くあるのが副腎腫瘍です。 他の目的で撮影したCTに腫瘍が写り込んでいた、 というような事が割合多いのです。 副腎というのは腎臓の上にある5gぐらいしかない小さな臓器で、 ステロイドホルモン…

息切れ

今日は少し長い(といっても大したことがない。3時間ぐらい)距離を歩きました。 40代は僕ともう一人だけであとは50代以上だったのですが、みんなの息切れがひどいのでちょっとびっくりしました。こちらは全然というか、当たり前なんですけど20歳から体重変…

復習と予習

子供の勉強の様子を見ていた。 高校までは知識を緻密にしていく作業が多かった。つまり復習の事だ。センター試験とか、良い大学の入試問題は大変良く考えられていて、学習能力の高い子どもを選抜することが出来るようだ。 大学に入ると今度は予習の作業が多…

友人たちから老いについての相談を受けると上手く答えられない

友人たちから 母を診てほしい とか 母の友人を診てほしい とか 良い先生を紹介してほしい と言われる案件が多いんですが、うまく答えられません。 老いの準備、死ぬ準備、人生をたたむ準備をするならば大いに手伝うのですが。 私の哲学を簡単にいえば「何も…

これで良かったか?

95歳のご老人で認知症がない方なんだけれど、パニック発作のようになって病院に行った、というエピソードがあった。 バランスよく年齢を重ねている方で、家族(息子さん)とははじめて会ったけれど、今回のパニック発作についても病歴のプレゼン能力が優れて…

下手な知識を持つ人々

血圧のコントロール、 というのはその人の人となりを表す気がして興味深い。 血圧が180あっても頑なに現実を認めようとはしない人。 自己流の考えがある人。 いろいろな症状をすぐに薬を結びつけてやめてしまう人。 相手を信頼して飛び込んでみる、という経…

紹介しないでくださいませ

他の病院・医院からの紹介で、と来院する患者さんのモチベーションのあまりの低さにはいつもHP/MPをごっそり持っていかれるので、ほんとマジ勘弁。 紹介するなら「あの先生は天才すぎてちょっと理解が出来ない変人」ぐらい言っておいてくれないと患者が戸惑…

その相談、本人への了承、ありますか?

よく家族の相談、ってのがあるんですけど、 一応親切に答え、その最後に、 「でも、そういう相談の答え、ご本人、望んでるんでしょうか?あなたのお節介ではないですか?」 って聞くことにしている。 身体の問題は本人が医師と相談して決着をつけるのが本筋…

盲点いろいろ

大きな肝臓がんがある人に、 スタチンが処方されていて、 違和感を感じたまま、 逆紹介(大きな病院から開業医へ紹介)されたので、 処方した。 で、保険診療では減点された。 減点されてはじめて「そういや禁忌だったよなあ」と。 でもこうも思った。「この…

食道裂孔ヘルニア

食道裂孔ヘルニアという、胃が胸の中に入り込んでしまう病気があって、 90歳で背中が極度に曲がった女性にとっては、 不治の、 そして命を奪うことがある、 困った病気である。 症状(胸焼けや嘔吐)を軽減するためにPPIという薬を使うと 尚更亀背(背中の曲…

男性のパニック障害がわかりにくい

お腹が痛い、と来院する男性の中に パニック障害の人がいるのではないか、 と思い出したのは最近のことだ。 特徴として、 お腹が痛い、と僕のところには来ないこと。 必ず僕が休みの時に、 お腹が痛い、と救急に駆け込んでいろんな検査で異常がないとされ帰…

ほうっておくんじゃないよー

胃の腺腫という腫瘍があった男性に来年また検査ね、と言ったんだけど 6年放っておいたので、癌になっていた。 うーん、残念。 組織をつまんでみたら、かなり分化度が高い癌だったから、 内視鏡で取れるかもーと、内視鏡も手術もうまい外科医に紹介したら、 …

なぜ外来に来たか、を理解する

「今日はどうされましたか?」 という問いかけからはじまるインタビューだけれども、 患者には来院する動機があるはずで、 それを知ることは重要だ。 だって下腹部痛で来院した人がいたとして、例えば女性ならば子宮外妊娠だとかチョコレート嚢胞だとかが思…