文京うまれ

自由と知性

放射線障害と鼻血

今日は二つ嫌なことがあった。

一つは未だに放射線障害と鼻血を結び付けて考える馬鹿がいるという事。しかもそいつ原作の漫画をかつて当直中に読んでしまったことがあるという事実。ゴルゴ13読んでおけば良かった。

もう一つはピロリ菌感染がわかった妻に、「俺にうつしたんじゃねえの」と言った夫。胸糞が悪い。

 

 

 

「出血」という現象を要素に分解すると、血管と血球とに分けられる。必要条件として血管の破たんがなければならぬ。それに加えて出血傾向があればさらに容易に出血は生じる。出血傾向には血小板減少、凝固因子の欠乏、薬剤性などがある。

血管の破たんは必ず物理的な作用による。例えば摩擦、例えば高血圧、例えば屈曲・進展、例えば酸などによる溶解、例えば感染である。

鼻の中にはキーゼルバッハという部位がある。比較的太い血管が粘膜のすぐ下にあるため、その血管が破たんすると出血傾向がなくとも出血が生じやすいという特別な部位である。こういう場所には他に肛門がある。肛門だ。肛門。

さて、キーゼルバッハの血管が破たんするには、1)粘膜が乾燥して裂けやすくなること、2)うっ血などで圧が上昇すること、3)物理的な刺激があること、などの条件がそろえばよい。例えば興奮は交感神経の興奮を呼び起こし、粘膜は乾燥するし、圧力が上昇するので血管は破たんしやすくなる。「出る出る」と思えば交感神経が興奮して本当に出せるのが鼻血である。放射脳は交感神経優位のように思える。

肛門は乾燥することがほとんどないわけで、おかげでよほど大きなうんこを出さない限りは出血せずに済んでいるというわけである。

鼻血が出ている人を見たら鼻が乾燥しているか、血圧が高いか、鼻ほじり野郎だと思っておけばまず間違いはない。

 

 

 

放射能も「うつる」とか言ってる真の馬鹿がいるけれども、発想が貧困だ。しかし感染症は本当にうつるわけで、正しい知識が必要だ。例えばB型肝炎は感染力が強く、柔道などのコンタクトスポーツでの感染が問題になるくらいだ。キスやセックスでは当然感染し、しかもかつては感染してもほんの一部が劇症化して死ぬことはあるもののほとんどは治癒するとされていたのに、今ではその認識は甘くて肝臓内にウイルスが残存し再燃することがあるとわかっている。このような感染症は数多く、不用意なセックスはするなよ、ヤリチンは滅びろ、と本当に思うわけだ。もちろんCSWは被害者でもあり加害者でもあり、なんとかせにゃいかん問題ではある。DNAマイクロアレイとかで100種類ぐらいの性病検査を全員にするぐらいはやっても良いんじゃないか。

 

ところでピロリ菌だけれど、夫婦間では感染は通常はしない。5歳ぐらいで胃粘膜の免疫は成熟して、それ以上の年齢ではちょっとやそっとじゃ菌は胃粘膜に感染出来ないからだ。マーシャルだってピロリ菌の感染実験を行ったときに菌を何度飲んでもなかなか感染せずに苦労したのだ。誰かが感染症だと分かった時に、「わーうつすなよ」と言うような低レベルの会話を夫婦でするなど悲しすぎないか。感染症は五万とあり、中には夫婦間での感染に注意すべきものもある。そうした教育を「わー、ばいきんばいきん」と囃し立てる程度の知能しかもたない人々にしてもほとんど効果がないのが悲しいところだ。生物と感染症は切っても切り離せない問題で、「潔癖症」や「清潔」が内包する矛盾を理解できる程度の知識を常識として持ってさえいれば良いのであるけれど。