文京うまれ

自由と知性

意外と飄々と生きている人

一回癌になった人がもう一回癌になるリスクは2割などと言われる。

患者を脅かさずにきちんとサーベイランスできるかどうかは医者の腕だと思う。

 

2度、3度と癌を乗り越えていく人がいる。

 

「先生に助けてもらったけど、また癌が見つかった」

「あら、大丈夫?」

「自業自得だからね」(元ヘビースモーカーの自分を指している)

「いやいやいや」

「でもこのだるいのはなんとかならんかね」

「連続して癌になってるから今は回復する暇がないんでしょうよ。でも栄養補助食品使いながら徐々に良くなるようにケアしてまいりましょー。ところで貧血がかなりあるんだけどなんか言われてる?」

「いや全然」

「大変、言いにくい事なんだけどさあ、まだ大腸検査してないんだわ」

「また癌か」

「いやいやいや、化学療法の消耗だとは思うんだけどね。大腸がさあ、まだ検査してないのが気になっていて。悪いんだけど、検査しても良いかな」

「してください」

「え?いいの?」

「嫌なものは早いところやりましょうよ」

「やりましょうやりましょう」

 

自分は、「検査させてください」って患者さんに言うことにしている。

こちらからさせてもらう、っていう言い方です。

それに対して、「しょうがねえなあ、いいですよ」っていう言い方が普通なのね。

その返しは本当は好きじゃないんだけど、それが普通の人間。

 

でも、

「いえいえ、こちらこそお願いします」とか

「どうぞしてください」って言う人がいて、

これが本当にインフォームド・コンセントだなあって思うんですよね。

飄々と人生の困難を乗り越えて生きている人は多いです。

基本ポジティブなんですかね。