文京うまれ

自由と知性

「疾患概念」を把握しておくと、その亜型みたいなものってのは結構ある

原発性胆汁性肝硬変って病気がありますが、

中年以後の女性に多くて、無症候性PBC大丈夫じゃねーの?なんて油断してるとあれよあれよと肝硬変になりますから甘く見てほしくない病気ではあります。

で、ALP上昇で見つかることが多いわけですが、なぜか検診の項目に入ってないことが多くて、たまたま別の事でALPが高くて見つかることが多いわけです。

 

ところでALPが上昇するってのいろいろあってそこでまた面白くていくらでも飯が食えますが、他の先生が除外する診断が甘くてあとあと病気が色々見つかるという意味で自分の評価を高くするかもしれない、という事は覚えておくとよく、つまりALPについては極めておいて損はない、と思います。

 

原発性胆汁性肝硬変という病気は、現在ではM2抗体が特異度が高いので良く診断には使われますが、その昔はIgMが高いというのもひとつの診断の根拠になったわけです。(古い教科書も役に立ちますね)

ところでIgMと言えば、TTTですから、TTTのみが高くてZTTが正常でなんていう昔風の検診項目を見たら、IgMが上昇する病気ってのを考えたほうが良くて、γ-GTが上昇してたらPBCじゃねーの?的な事は考えつくわけです。

 

せっかく気づいて調べたは良いものの、ALPは上昇してない、M2は正常なんて事はいくらでもあるわけです。ただそこで「違ったな」と簡単に諦めちゃだめだ。γ-GTだけが高い。ただ、まあ、そういうときはPBC類似の自己免疫反応が起きていることは十分可能性として考えておいたほうが良いわけです。

 

その疾患概念にはぴたりと収まらないけれど、類似のことが起きているようだ、という事は実際の臨床ではいくらでもあるわけで、そういうものの中に、疾患の真実に迫るヒントが隠れている可能性があるかもしれないから、患者さんと良く話し合ってのんびりと、それこそ10年単位でお付き合いしていくつもりでいるのがよろしいと思う。