文京うまれ

自由と知性

感謝されないように病気を見つけるようにする

偶然を装って病気を見つけるようにすると患者さんが傷つかない。
実際には理詰めで考えて、リスキーだから検査をしてバンバン見つけるわけですが、そんなのうちの医療全体を眺めていなければわかるはずがない。
「わかんねーな」とか言いながら偶然を装って癌を見つける分には患者さんは傷つかないし、過去の自分を悔いたりもしないし、他の医者を恨んだりもしない。

例えば食道がんが心配で来院した人に、
この人絶対食道がんじゃないと確信をもつのは簡単であり、
内視鏡をしたとして病気は見つからずに
「機能的なんとか」とか
「逆流性なんとか」みたいな
誰でもつけられる病名をつけて終わりになるのだ。
でもそれが面白いか??
それで年間100名の癌を見つけられる??

さあどうする?といろいろ話を聞いていて、
やはりその人が受けている医療には穴がある。
それがわかったからちょっとやる気を出してみると、
偶然見つけたのが胆のう癌疑いのポリープ(11mmなので手術必要)と、
橋本病だった。

それとは別に牛角胃だって事もわかった。
こんなんエコーでわかる医者僕しかいないと思うけど。
「あなた食べてすぐ腹いっぱいになるしゲップでる」というとその通りで。
「でも我慢して食うといくらでも食える」というと笑っていた。
だから太ってるんだけど。

まあとにかく感謝されないようにすることだ。
失礼なことだって言って構わない。
どさくさで病気見つけていれば、患者は一番傷つかないからだ。
それが何よりだ。