文京うまれ

自由と知性

情報の輪

「先生、私のような人多いんですよね」
「多いですね」
「良くなるにはどうしたら良いんでしょうか」
「まじめに通うことですね」
「……それ以外はないんでしょうか」


という会話がありました。みなさんどう受け止めるだろうか。
「まじめに薬を飲め」とは言っていない事に注目してください。


外来というのは患者さんと医師とがコミュニケーションすることでどんどん新しいアイディアが生まれて行く場所だと思っています。特に機能性の病気に関してはそういう側面があり、「こうしたら上手く行った」というような情報交換が医師を介して患者さん同士で行われます。記憶というのはすぐに薄れてしまうから、まめに会話することで患者さんの体験を記憶する装置の役割をするのが医師だったりするのです。

年に1-2度来る人は、いつも情報を受け取っていくだけの人々です。いつのまにやら情報に乗り遅れていて、「あらまだこういう工夫をしてないの??」という事になる。二周遅れぐらいになるので永久に追いつけないのです。

「まじめに通ってみたらどうか」と言うのは、情報の輪の中に入ってみませんか?という意味なんだけれども、そう解説してはじめて輪の中に入るような人はあまり情報源としては有用ではないので、そんなことは言わない。