文京うまれ

自由と知性

食道裂孔ヘルニア

食道裂孔ヘルニアという、胃が胸の中に入り込んでしまう病気があって、
90歳で背中が極度に曲がった女性にとっては、
不治の、
そして命を奪うことがある、
困った病気である。

症状(胸焼けや嘔吐)を軽減するためにPPIという薬を使うと
尚更亀背(背中の曲がり)が増悪するという悪循環。

手術をしようにも日本にはまだ技術が十分普及しておらず、
ましてや90歳である。

症状としてはしょっちゅう血を吐く、という事になるのであるが、
捻転を起こして死に至る場合があり、
なんとかソフトランディング(流動食か何かを食べて徐々に体力が低下、みたいな世界)させたいが、
割りと元気でガツガツご飯を食べてしまい、
そのたびに嘔吐出血、というような経過を辿る。

貧血が進行すれば心不全にもなりやすい。

「割と元気だ」というのは大変にまずくて、
患者も患者の家族も、死がそこまで迫っていることをまるで認識していないという問題はあるのだ。

はやく手術が普及した世の中になってほしい。