文京うまれ

自由と知性

Win-Win

希望に燃える若い医者が、

「患者さんの笑顔が見られて自分もうれしいなんて、医者は最高ですよね」

と言っていたのが妙に引っかかっている。

 

自分は今までそういう事を考えたことがなかったからなのだけれども。

患者の求めに応じてスキルを提供する第一段階はまあ、それで良い。

 

しかし、医者の苦悩というのは、

第二段階にある。

患者が治療を望まない、いや本当に望まないのか?その裏にある真意は?

社会背景か?自分がセーフティネットにならないと行政はやってはくれない。

自分がセーフティネットになったら自分が死ぬぞ?

どうするやれるのか、やれないのか。

 

医者は警察同様に患者の生活にずけずけと介入しても罪を問われることが少ない職業で

薬物依存だとか、医療拒否だとか、貧困だとか、

そこに個人としてどこまで介入するか、

という部分が難しく難しく難しく、しかしコンピューターには出来ないでしょ。

 

という事を、自分は医学部に入る前に考え込んでしまい、

まあ悩んだ挙句にこの道を選んだわけだけれど、

だからって他の医者と何ら変わらない事をしているわけである。