文京うまれ

自由と知性

救命の鍵

シャーロックを見た。

 

老人はかなり窒息で亡くなる。自分の目の前で亡くなってしまったのは3名おられていずれも救命は出来なかった。背臥位で嘔吐してしまい、5分気づかなければもうアウトだからだ。年をとると嘔吐しやすくなるのは犬でも猫でも同じで、人間もそうだ。聖路加の名誉院長先生がうつ伏せで寝ておられるのは理にかなっている事である。

 

シャーロックが撃たれたのは右季肋部のやや上だ。横隔膜やや下あたりを狙ったものだろうと思う。あの辺りが安全かどうかは良くわからない。しかし太い動脈は肝臓内にはないから正解だろう。左だと腹腔動脈の枝がかなりバリエーションがあるので確率的に危険だ。左右の下腹部では視聴者が納得すまい。あとで再出血で倒れているからおそらく打たれたのは肝臓で間違いあるまい。

 

肝臓が撃たれて、撃ったのは22口径だろうか。肺ではなくて肝臓だから貫通しない可能性は高いだろう。そうなれば確かに後ろに倒れるのが良さそうだ。しかし嘔吐は心配である。盗みに入ったりする場合には当然空腹でいるべきだし、シャーロックならそうしただろう。

 

その部位が撃たれたとして、むしろ危険なのが血胸かもしれぬ。

撃たれる瞬間に息を吐いていたほうが肺実質の損傷は避けられそうだが、横隔膜を貫いた可能性はあってその場合血胸が生じてしまう可能性はある。体外にはそれほど出血はしないだろうし、腹腔内にも出血はあまりするまい。

 

結局は血胸となり止血に手間取って心停止に至った可能性はあるだろう。ただいきなり洞調律になるのは解せない。そもそも心マかけてるか、なんかしてるのであんなにフラットにはなるまい。ボスミンでVFにしておいてDCかけて洞調律にするのだとドラマがないからしょうがないけれど。それともATPか何か打ったのかな。

 

自分ならとっさの状態で、同じ場所を狙われた時に息を吐けるかというと無理だし、撃たれたあとは自分の気道を確保するためにうつ伏せになってしまう可能性が高く、まずいなと思った。とにかく盗みに入る前は胃は空にすべきだ。

 

ところで欧米の点滴に使われているパッケージの材質と日本のそれとはかなり違う。日本はPET素材が多いし、柔らかいものも透明度が高く、やや硬い素材だ。欧米のは柔らかくてもっとフニャフニャで、印刷も滲んでいたりする。お国柄なんだろうけれど、ふしぎだね。

 

2話で出てきた、鋭利な刃物。これはバイオプシーガンにしたほうがもっとリアルだった。バイオプシーガンだったら、ほんとに気づかれないかもしれないから。ただ、あの部位を差して時間差で失血死させるのはなかなか難しいと思う。右から狙うなら右腎静脈か下大静脈だが、左からなので左腎静脈しかない。したがって、右から狙わせたほうがよりリアルだったと思う。ん?ああ、脾静脈なら辻褄はあうか。