文京うまれ

自由と知性

不安な人の思考回路

「あんたがかかっても大丈夫なのはこの辺ではあそこしかないよ」と精神科医に言われるのは迷惑だけれど、たぶん当たってはいる。

 

メンタルが弱い人に一番おすすめは「ブランド病院」だ。J天堂とかS路加とか。ホスピタリティが良いし、なにしろ安心感が違うから。

 

でもお金がある人ばかりでもないから、精神科医も慣れたものであの人はこっち、この人はあっちと上手に交通整理をしているようで。

 

俺の場合は双極性障害はたぶん苦手だし、異常性格には潰されるタイプの医者だから気遣ってくれていると思う。不安症の人ばかりを送り込んでくる。

 

で、不安な人の思考は割りと手に取るようにわかるんだけれど、例えば慢性的な症状と、急性症状を混ぜて考えるというのは典型的なパターンだ。

 

例えば慢性的にだるさがあるとする。ここに微熱、関節痛が加わる。このパターンから自己免疫疾患だ!とか、癌だ!とか決めつけて来院、とかいう感じ。

だるいのはいつもなので、正解は微熱と関節痛が2日前からあるだけなのでただの風邪だという事になる。「あなた基本的に1年前も2年前もだるいじゃん」「そうでしたっけ」というようなやりとりがある。

 

家族に愛されている人には家族がついてくる。そしてその家族は少し苛ついている。苛ついているのはこの患者に対してである。「癌なら癌で良いじゃないか、諦めろ」みたいな事を言ってしまうのは、オオカミ少年状態が20年も続いているからだろう。

 

だから自分が診るのは患者だけではない。患者の家族の心もケアしてやらなくちゃいけない。なので、こういう不安な人々の心のトリックを解説してやるわけだ。さっき書いたような慢性と急性を混ぜがちだ、というような。そして家族の労をねぎらってやる。そして振り回されぬように少し対処方法を教えるわけである。

 

急性疾患は1週間で決着がつくものだ。したがって症状の中から急性だろうと思われるものを抜き出して診断し、様子を見るように説明してやれば解決である。