文京うまれ

自由と知性

今日思ったこといくつか

アメリカで研究者をしていると、特に tenure 取得者になると(終身教授)当然のことながら401kの口座を持つことになる。401kは確定拠出年金制度のことであるけれど、日本と違うのはその投資先を自分で変更できることだ。なのでうまくやれば年金を増やすことが出来るし、そうでなくとも日本の退職金よりかなり高額になることが多い。

 

一方、グリーンカードを取得していても、自分が死んでしまった時にはそれらの財産は合衆国にかなり持っていかれる仕組みがあるそうだ。(自分は合衆国では死んでないからわかんないけど、アメリカ国内の動産・不動産なんかは持っていかれると聞いた)そこでアメリカ国内にかなりの資産があって、かといってカリブ海などに移すほど金持ちでもなくて、しかも子供を持つとかなり必死に市民権を取ろうとするのが普通だ。(実際には終身教授だったら実績十分なので弁護士に頼めばあとは簡単なテストがあるだけ)

 

なので中村氏もお子さんや被扶養者がいるならば当然すぐにアメリカ国籍取得を目指すだろうと、と思う。

 

日本が嫌い、云々ではなくて、あちらで腰を据えて研究すればそういう結論になるのが当然だ。南部陽一郎博士だって同じ。私の友人たちだって、腰を据えてアメリカで子育てっていうときにはアメリカ国籍取得する。(あるいは資産は分散する)

 

日本だって、外国籍の人の日本国内の資産は相続時に没収するか高額の税金をかけるようにすれば優秀な人は帰化してくれるだろう。逆に今の相続税は安くする。これは人材確保を狙う国家戦略としては頭が良いじゃないか。

 

という視点で誰も話していないのはなぜか。どーせ優秀じゃない人には関係ないから。ニュースとしてのバリューがないから、なんだろう。優秀な人(の卵)たちは普通のメディアを読んではいけない、という理由はこういうところにもあるのかもしれないな。

 

 

 

アスペ日記の真鍋さんのいうこと、とても良くわかる。彼はTOEIC950点だそうだけれど、我々、翻訳を「監修」するような仕事をするものにとっては、医学の文章で正しい翻訳をしてくれる人には英検なら1級、TOEICなら900点、TOEFLなら100点ぐらいの実力がないといけない、というのが実感だ。

 

彼が使う「ひどい」という言葉は彼自身が「善意」と書いているけれど、翻訳をしている人には悪意がない、という事を示している。私のアスペルガーの友人も他人がした仕事を指して「ひどい仕事」という言葉をよく使うのですぐに理解ができた。満足はいかないが、彼が悪いのではないかもしれない、という事を表現するために彼らは「ひどい」という言葉を使うのだろうと思う。

 

私が翻訳監修をしているときも同じ思いだ。まず翻訳文として提出された日本語が間違ってるじゃないか、と憤りを感じるわけで。日本人なんだから日本語間違ってるんだからわかれよ、と。そこで問い合わせると「なんとなくわかんなくて」となる。じゃあ辞書を調べたのか、シソーラスは、そして今ならインターネットがあるわけだから、固有名詞に近いなにか(真鍋さんの記事にあるpretty printingなんかがそうだろうけど)なんじゃないか、と調べなかったのか?と聞くと必ず「調べなかった」という。彼らには全く悪意はなくて、しかも私が間違いを指摘すると「なかなか指摘してもらえないので勉強になります!」と喜んでいるのだから頭を抱えてしまった。

 

真鍋氏は言語感覚が特にすぐれた人だから、その嘆きはいかほどのものだろうか。