文京うまれ

自由と知性

遠回しに言わせていただいておりますが

標榜科、というのがあります。

私の場合は、消化器科・内科、と標榜しています。
自分の専門は内科だけれど、特に消化器だよ、と主張しているのです。

開業するときに、
消化器科・内科・小児科
とつけることだって出来ます。

内科、という科は色々な指導があるので経営が安定しやすいです。

なので、婦人科・内科、みたいな標榜をする先生はいらっしゃいます。
かくいう私の父も外科だけでは食っていけないだろうと、外科・内科を標榜して開業したのです。

ところが、内科医じゃないとたぶん出来ない仕事というのはあります。
甲状腺機能低下症と糖尿病に、原因不明の肝障害がかぶっているような病気ですとか、
さらにそこに膠原病がかぶっているような病態の場合です。
それを内科を全く研修していない先生が診ていることはわかってしまいます。
それがたとえば自己免疫性肝炎だったり、B型肝炎だったりすると患者さんが危険です。
また、高血圧だとしてフォローされていて副腎腫瘍が簡単に見逃されるのも内科ではあり得ないことです。

危険だな、と感じても患者さんが信頼しているだろう主治医のやり方が「間違っている」とははっきり申せません。

従って、「あなたの場合は肝障害の原因がまだ明らかではありませんから、内科専門医、あるいは肝臓病学会専門医、あるいは消化器病学会専門医の資格がある先生におかかりになってくださいませんか」などと遠回しに申し上げます。私が診ても良いのですが、私はアメリカ留学したときにそれらの申請をすっかり忘れていて、実はどの資格も取れていません。もう医局もやめたので、無理なのです。痛恨と言っても良い出来事なのですが、今は患者さんをお断りするときに「私は専門医資格を持っておりませんで」という風に利用しております。