文京うまれ

自由と知性

名医のジレンマ

名医だなあと思う友人が何名かいるんだけど、
彼らに共通しているのが、
集患はしないって事なんです。
例えば耳鼻科の名医がいるんだけど、
「患者が来ない」って言うんです。
そりゃそうだ。
患者指導で治しちゃうんだからね。
手術が必要な病気を見出すのも彼の仕事です。
珍しい病気も難なく見つけ出す。
それらは大学病院で培われた豊富な知識と、
彼自身の才能と、その後の努力によるんでしょう。

例えば花粉症って病気は患者の対処法で症状がかなり変わる。
ケナコルトの注射や、セレスタミンを喜ぶ患者ってのは、
短絡的な思考の人かプロスポーツ選手に限られてくる。
金を稼ぐスポーツ選手ならしょうがないと思うけれど、
そうじゃない人が骨粗しょう症胃潰瘍や副腎不全のリスクを背負って
花粉症の治療を注射や内服のステロイドで行うべきかどうか、
少なくとも患者が多いヤブ医者に注射されるのはだめだよ。
馬鹿なんだから副作用に対処が出来ない。
それこそ名医による判断が必要でしょ?
でも彼にかかれば患者は
「抗原からどう遠ざかる?」を考えるようになる。
だからあまり通院が必要じゃなくなってしまうんです。
だから彼は暇になる。
ある種の患者に彼を勧めると「えーー」っていう。
考えさせられるのが嫌なんでしょう。
やっぱり短絡思考ね。薬だけ飲みたい。
インターネット上にはなぜかそういう人は少ないんだけど、
現実世界の人間は薬漬けになっていたい人のほうがはるかに多いんだ。

そこに名医(特に診断の)のジレンマがある。

ただね、インターネットがこれだけ普及してくると、
名医がだれかっていうのはだんだんわかるようになるし、
その先生にかかりたいときにかかっていいのか、
という交通整理も出来やすくなると思うんです。

世の中には名医を求めている人はそんなには多くないんです。
だからそのジレンマは解消されるんじゃないかなと期待しています。