文京うまれ

自由と知性

若い人相手のバイアス

胃がんを見つけるときには、

0)がんじゃないからスルーする。
1)がんじゃないと思うが、もしもがんだったら後悔しそうなので生検
2)がんだと思う、むしろがんじゃなかったらどうしようという生検
3)がんですよね、手術の準備で生検
という3つの段階がある。

3)に関しては医者によって差は出ないと思う。
2)に関しては少し差があるけれど、それほどは差がないと思う。
自分は当たり外れが少ないのでかなり1)は少なくて0)が他の先生より多い。
世の中なんでもかんでも生検する先生が多い。
この他に僕は他の先生が気づかない病変に気づく事が多い。

要するに僕の内視鏡は正確だということなんだけど、
それ故に患者に与えるプレッシャーが大きい時がある。
僕が生検すると患者のびびり方が普通ではなくなるのね。
自分が患者でもびびるわ。

ただね、患者が若ければ若いほど、
めったにない形態だけど癌かもしれない病変を見つけられたら、それはチャンスでしょ。
なので少し「生検しちゃおうかな」バイアスがかかるのは事実なのよ。
酒とかタバコとかくらってる人はどーせしょっちゅう検査しなきゃだめなのと、
そんな微妙な病変は死ぬほど沢山あるので「スルー」バイアスがかかるわけ。

なので若い人にはちょっとバイアスかかりますんで、
びびらんといてくださいよ、みたいな話をする。

あ、むろんピロリ感染がある(あるいはあった)人に限るよ?
鳥肌胃炎とかのリスクを踏まえた上での話ね。
そういうのがなければ「スルー」するって。