文京うまれ

自由と知性

なぜ外来に来たか、を理解する

「今日はどうされましたか?」
という問いかけからはじまるインタビューだけれども、
患者には来院する動機があるはずで、
それを知ることは重要だ。

だって下腹部痛で来院した人がいたとして、例えば女性ならば子宮外妊娠だとかチョコレート嚢胞だとかが思い浮かぶんだけれども、「父がこのまえ大腸がんになりました」と言うのならば、それは痛みをどうにかしたい、という思いの他に大腸がんが心配だ、という思いがあるはずだからだ。

なので「子宮外妊娠や子宮内膜症ではないし、便秘かもしれないから様子を見てみましょう」と終わりにするよりは、「憩室や潰瘍性大腸炎の除外のために大腸検査をしてみましょうか?」と話を向けたほうが患者の思いを良く理解した、という事になる。そこで「え、良いです」と言われたらそれは相手の心を読むのを失敗したということだ。(そういう経験はまだないけども)

それが全く脈絡のない妄想ならば、それを教えてあげれば「あ、全然関係ないのか!」と納得してくれる。

私の場合には話をあちこちに飛ばしながら聞くとか、他のコールドリーディングの術があるんだけれどもそれは普通の人には難しいので、医学部の学生には問診票を患者に書かせておくことはそうした思いを話術を利用せずに理解するショートカットになり得る事を教える。その中には家族歴や既往歴、現在飲んでいる薬を書く欄があるだろう。そこに患者の思いを理解するヒントがあるので、インタビューの時に話題にすれば良いだけの簡単な話です。

その他には「週末、旅行?」などの決め付けテク、もある。