文京うまれ

自由と知性

これで良かったか?

95歳のご老人で認知症がない方なんだけれど、パニック発作のようになって病院に行った、というエピソードがあった。

バランスよく年齢を重ねている方で、家族(息子さん)とははじめて会ったけれど、今回のパニック発作についても病歴のプレゼン能力が優れており、きっと企業の偉い人か高級官僚あたりであろう。

死ぬときはおそらく眠るように死ねるのだろうが、最近同じ年齢の夫が水頭症になり長期入院を強いられている。このように非常に健康であっても、脳梗塞心筋梗塞、あるいは癌を回避していてもなお、病魔、というのは襲ってくる事を知ったのが不安の根にあるのであろう。

この医療費をあまり使わないご老人(まだ介護保険も使っていない)、大往生には早いだろうが、安心させるために何かいい言葉はないだろうか。

「大丈夫、眠るように死ねますよ、バランス良く歳をとっているから苦しむような病気にはなりませんよ」と口をついたんだけれど、頷くのは息子殿ばかりで、ご本人はわかってないような表情をしている。「いろいろ診察をしてみましたが、異常がありませんよ」と付け加えると「ああ、それは良かった」と言っていた。

天皇陛下を診察するときには「異常がございません」以外は医者は言ってはいけないんだそうで、まあそれも一つの様式美だと言える。