文京うまれ

自由と知性

妥協点

若い人に、「乳癌検診にいけ」というのは馬鹿げていると思うんです。
だいたい僕が診ていて、30歳台だと700人にひとりくらいしか見つけられないです。
20歳台はそもそも診てませんのでよく知りません。
貴重な若い人の時間を700人以上分奪ってやっとひとり・・・これでは実は社会に貢献は出来ない。

アメリカでは49歳以下にはベネフィットがあるか微妙ってのが計算上わかったので、
「個人の判断で」ってなってますが、
それでもショッピングセンター内にクリニックがあって気楽に乳癌検診が受けられるアメリカなら
患者さんは利益を享受できるでしょう。ところが日本では高いし待つしクオリティは(ry

日米見ていると、悪いんだけど検診技術もスピードもあっちの方が上だ。
日本ではクリニックに足を向ける人だけが濃厚に無駄な(ごめんね)検診を受けるという問題もあります。

妥協点はないのか、妥協点はないのか、って考えて、
結局やっているのは、

うちに来た人は、乳腺も見る(希望があればね)ことにしています。

私のエコーの腕は、わかんないけど、相当高いと思うし、(人の見逃しは良く見つけるし、まだ訴えられたことがないから多分相当のレベルだろうと)エラストグラフィーも買っちまったし、まあ、検診レベルははるかに超えてるだろうと。
料金はいらないや、黙ってやってしまえば誰にもわかるまい。患者さんは払ったつもりになってくれたほうが良いし。

わざわざ検診を受けるつもりじゃなくて来た人にたまたま乳癌が見つかれば、期待値0からだから絶対社会にベネフィットになるんじゃね?って事です。

これを10年以上やってるわけで、だいぶ社会貢献はした・・・かと思うとだなあ、
乳癌ほど難しい癌もなくてだ。
途中で再発が見つかっていっしょに落ち込んだりだなあ、いろいろあるわけだよ。

それでも、乳癌とか甲状腺癌を見つけるスキルがあるというのは良いことだと思ってる。
ていうか、どの内科医も身につけるべきスキルだと本気で思っている。
 自分はたまたま父親が外科なんで、しょうがなく身につけたわけだけど。
診察の延長で、ちゃんと見ておくべきだ。(患者さんの希望があれば)

福島の原発の事故でたぶんこのスキルは今後も役立つんだと確信してるけど、
放射線検診も巨大利権になりそうで、とてもいやで、
誰でも出来るんだよ、こんな検査、っていうのを広めたいんだけどどうしたら良いんだろうか。